
【テーマ】建築工事費等の事業費高騰がマンションの建替事業(再生事業)に与える影響
2026年05月27日 10:24
この度、老朽化マンションの再生の円滑化等を図るために、建物の区分所有等に関する法
律(以下、区分所有法)、マンションの建替等の円滑化に関する法律といったマンション
関連の複数の法律が改正され、2026年4月1日より施行されました。
老朽化マンションの再生手法として、建替のほか、建物・敷地の一括売却、一棟リノベー
ション、建物取壊し等が追加されたほか、再生の合意形成の多数決要件なども見直しとな
るなど、今後マンション再生が円滑に進むような規定が盛り込まれました。
一方で、昨今の建築工事費高騰により、マンション再生の事業環境は非常に厳しい状況下
にあり、複数のマンションで再生事業がストップもしくは見直しの検討を余儀なくされて
いるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、建築工事費等の事業費高騰が、マンション建替事業の事業成立性に、
どのような影響を及ぼしているかを整理し、今後の対策として最低限何が検討できるのか
、私なりに考えたいと思います。
まず、マンションの建替事業を進めるには、初期段階から様々な検討が必要となります。
その中で、建替事業成立のために必要不可欠な条件として、以下2つがあると考えています。
1 事業収支が成立すること(事業費を回収できる収入が見込める)
2 区分所有者が納得できる建替条件が実現できること(区分所有者の費用負担の程度や、
従後の取得床の帰属が納得できるもの)
建築工事費高騰等の事業費高騰が上記2つの条件にどのような影響を与えているか、一定
の前提条件の下で簡易的に検討しました。参考資料のPDFを本ブログの末尾に添付しています。
事業費高騰により、区分所有者の建替条件は悪化する方向に作用します。
建替による従後マンションの価格上昇が見込みにくい、例えば郊外のマンションでは、建
替を前提とした従前マンション評価額が相当低くなってしまい、区分所有者が納得できる
建替条件の実現が困難になっているのではないでしょうか。
事業費高騰下で、区分所有者の建替条件を良くするための方法として、最低限何が検討で
きるのか、一般的に知られた内容となりますが、
・事業費(特に工事費)を下げるための努力(ゼネコンとの協議、VE/CDの検討)
・行政からの補助金確保の検討
・従後マンションの設計変更による商品価値向上、有効率改善、割増容積獲得の検討
・区分所有法等の改正に基づき、建替以外の一棟リノベや敷地売却等の手法を取った場合
、事業収支の成立性が見込めるか、区分所有者の再生条件が改善するかといった別の再生
手法も検討事項に含めていく。 など
言葉で言うのは簡単であり、いずれも実現するのは容易ではありませんが、一つずつ検
討していくしかない状況と思います。
また、区分所有者の方々にも、戸建住宅の単独建替の場合と同様に、一定程度の自己負
担額が発生することをご理解頂くことも必要不可欠になってきていると感じます。
今後、鑑定評価等の実務の中で感じた課題については、私なりに検討し、定期的に、情
報発信できればと思っています。
何か皆さまの問題解決のヒントに繋がれば幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。
>参考資料はこちらからご覧下さい。